宮城県仙台市、臨済宗妙心寺派 少林山保春院のウェブサイトです。

 『雲もなく 月も桂も木も枯れて 拂(はら)い果てたる うわの空かな』

2016/12/01 (木)

 この句は写真掲載した掛け軸(墨跡)の文字の部分です。書かれたのは妙心寺専門道場の雪丸令敏老大師で、本堂落成式の時に導師をつとめて頂きました。この保春院だよりが届く頃は、紅葉も終わりガサガサと落ち葉散る頃かと思います。保春院では十月中旬より桜が落葉し、続いて銀杏、真っ赤なヤマモミジと続きます。

 紅葉を愛でているうちは良いのですが、毎年繰り返される落ち葉掃きは大変難儀します。ついつい「全部落ちるまで待っていよう」と、考えたり、一晩で落ちないかなぁと思った事もありました。そして歳晩、すっかり落ち葉が掃き終わった頃に純白の霜が降り、正月の準備に追われるのが恒例でした。
 さて、昨年の歳晩号にも「落葉多し」と書きましたが、禅宗、いや宗教に於いて「月、雲、落葉、大掃除、庭掃除等々」は何を示し、何を言わんとしているのでしょうか。
 宗教とは、心の問題、心のあり方の問題です。でも残念ながら、心は目に見えないし、形に書き表す事も出来ません。だから種々の考えが出てきて、それがいろんな宗教になりました。根本は「心の問題」であり、見ることが出来ない。書き表すこと、写真で示すことも出来ないのです。
ですから、目にみえる月、雲、落葉や、耳に聞こえる風の音、鳴き声などに喩えてお話をしなければなりません。単一で表現出来れば簡単なのですが、そうも出来ない。故に難しい説明になってしまいます。
 ここでは簡単明瞭に「我が心の妬み、怨み、嫉妬などがすっかり拂い去って、天空すらも無くなった」 または「無心無我の境地」と言って良いでしょう。但し、大切なのは何にも無い。無心無我で終結してはならない事です。せっかく雑念から離脱したのだから「本物を見る目、本物を聞く耳、本物を感じる心等」を、今度はしっかりと体得しなければなりません。庭掃きをすれば美しい箒の跡が残り、落葉した木々には来年芽吹く新しい芽が出来ている。「無」は「有」の始まりなのです。今の言葉でいうと「心を完全にリセットする」ということでしょうか。

 江戸時代に活躍した臨済宗の僧で白隠という方がいます。白隠は墨跡に「心 在らざれば 死人に同じ」と書かれています。「無心」に安住するのは死人と同じ。「無心」から「有心」へと前進することが大切なことですよ、と教えているのです。
 さあ、皆さんは除夜の鐘を聞きながら心をリセットし、来年は新しいどんな人生を描くのでしょうか?

境内案内

本堂 - HONDO -

平成26年に落成した禅宗方丈様式の本堂です。本尊「聖観世音菩薩」と、伊達政宗公ご両親のお位牌を安置しています。また、民間信仰として古くから伝わる不動明王「牡丹餅不動」も安置しています。

蔭涼軒 - INRYOKEN -

本堂再建の際に仮本堂として建てられ、東日本大震災の時には避難所にもなりました。檀徒の方を優先に、地域の方にも通夜会館、諸会議、展示会等でご活用いただけます。また、各種研修も受け入れています。

山門 - SANMON -

開山 清嶽和尚さま350年遠諱、保春院殿370遠年忌の記念事業として、建設されました。現在は瓦の破損と雨漏りによる腐敗のため解体保存中です。

位牌堂 - IHAIDO -

安置を希望する檀徒の位牌を預かる場所です。永代供養のための位牌も安置しています。

永代供養塔(三界萬霊塔) - EIDAI KUYOUTO -

後継者がいない方、墓じまいの方の為の合同永代供養墓です。年に一度、合同法要を行います。一般の方もご利用できますので、詳しくはお寺までお問い合わせ下さい。

動物霊園 - DOBUTSU REIEN -

家族の一員として一緒に生活してきた動物のお墓です。毎年春に合同法要を開催しています。 近隣の方もご利用できますので、詳しくはお寺までお問い合わせ下さい。

茶室(一華庵:いっけあん) - CHASHITSU -

宮城刑務所で亡くなられた方を供養するために建てられた茶室で、保春院に移築されました。現在は老朽化が進行したため、解体保存中です。

白山神社 - HAKUSAN JINJYA -

保春院の境内にある神社です。正式名称は「白山妙理大権現」といい、毎年春には例大祭が行われています。

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